ボローニャから見た中国

イタリアに縁もゆかりもなく、地域研究・中国のゼミ生だった僕がイタリアに留学しているのは、考えてみるとちょっと不思議だ。

だからここボローニャで、あなたはどうしてイタリアに来たの?と聞かれると、答えに詰まってしまう。

たぶんこれが、アメリカやイギリスならば、中国や東アジア地域に興味がある学生が留学していても、あまり不思議はないのだろうけど、イタリアになると話は別だ。なぜイタリアに…?

 

結局これに強い説得力をもって答えられる答えはまだ見つかっていないのだけれど、それでも中国に関連してある程度答えることはできる。僕は日本の大学に提出した留学の願書に、こう書いた。

一帯一路やAIIBといった、中国が主導している国際プロジェクトに対して、イタリアを含むヨーロッパ諸国は、日本やアメリカよりも楽観的に捉えているように見受けられ、ヨーロッパの視点から見る東アジアについて関心がある。地政学的に日本ほど中国の直接の脅威を受けないイタリアで東アジアを学ぶことは、東アジアに関して多角的な視野を身に着ける良い機会であると思う。

 

よくもまあこんな適当なことを願書に書いて受かったよな、と思うけれど…。

 

死刑制度の廃止がEU加盟の条件である事からも見て取れるように、人権や民主主義といった価値観を大切にするヨーロッパ諸国が、そのような価値観を共有しているとは言い難い中国と接近しようとしていることを、安全保障上の脅威の有無だけで説明できるのか。

イタリアの人々は、またヨーロッパの人々は中国や日本をどのように見ているのか。

 

このボローニャ留学ではそういったことを学んでいきたいと思う。