「あの」戦争

同じ寮に住んでいるフランス人の留学生との会話の中で、彼から「the war」という単語が出てきた。

彼がそこで指していた「あの」戦争とは、第二次世界大戦のことだった。

日本人が「あの」戦争というとほとんどの文脈で第二次世界大戦を指すけれど、それがフランス人にとっても同じであることに少し驚いた。

日本にとってあの第二次世界大戦は最後の戦争であったし、ドイツと違って国家としての連続性こそ保ったものの、あの戦争前後での変化はあまりにも大きなものだったはずだ。憲法だって変わったのだ。

一方のフランスは、第二次世界大戦以降もインドシナ戦争などの戦争を経験している。

 

ヨーロッパが戦場になった第二次世界大戦は、フランスにとっても忘れ難い記憶になっているのだと思った。

「ヨーロッパに再び戦火が交わることのないように」という理念を端に発したヨーロッパ統合は多くの問題を抱えてはいるが、それでもヨーロッパ統合の当事国では、第二次世界大戦後いまだ、戦争は起きていない。